IPO需要の重複申告

プライムワークスのIPO申込みに関して、ご質問がありましたので、参考までに

ご家族複数人数でのIPO申込みや、
他の証券会社でのブックビルディング申込みの可否など、
需要申告(抽選申込み)の重複に関するご質問を受けることがあります。

 電話でIPOを申し込んだ際に、"他社での申込みはありませんか"

と聞かれたり、証券会社HPで

"同一世帯の複数口座からお申込みがある場合、購入申込を制限またはお断りさせていただきます"

などの注意書きが目にはいると、何か悪いことをしているような感じを受けてしまうからでしょうか。

ご質問については、"法令等で定められたものではないため、
引受け証券会社毎のルールと実際の運用次第です"とお答えすべき
なのかも知れませんが、これでは身もふたもないですね。


まず需要の重複申告の何が問題か、管理人の"推測"を含めて整理してみますと

     IPOバブルにより、IPOがプラチナチケット化
      ↓              ↓
 仮条件上限でBBしないと抽選対象  申込み枚数が当選確率に
 にすらならないルールがほとんど  影響する証券会社もある
      ↓              ↓
 仮条件上限でブックビルディング  可能な限りの大量申告
      ↓              ↓
     主に個人投資家に上限での重複申告が発生
    (実需に基づかない需要も多数含まれてしまう)
              ↓ 
 実需であれば仮条件下方で決まるようなIPOの公募価格が
 需要が過大集計され、上限で決定してしまう
 (ブックビルディングシステムの価格形成機能が損なわれる)
              ↓
 割高な公募価格設定、公募割れ、需給相場後の価格低迷発生

となると思われます。


次にブックビルディングや抽選申込みの"重複"について、
パターン分けしてみます。


 1.同一人物が同一証券会社に名義借り等の複数口座を持ち、
  当選確率を上げる行為(マネックス証券などで有効)

 2.同一人物が同一証券会社の複数支店等の口座から需要申告
  (個人と法人口座の使い分けなども含む) 

 3.同一証券会社において、同一世帯の複数口座から需要申告
  (家族口座と呼ばれることもあり)

 4.同一人物が、複数の証券会社から同一IPOに需要申告
  (IPO人気化により個人投資家の間では常態化)


1のパターンは違法な借名口座ですから、すべての証券会社で当然不可です。

証券会社としても対処する義務がありますが、現実には
IPO目的に同一証券会社に異なる名義の口座を複数保持して
当選確率をあげている方はいるようです。

結果的に適切に需要申告している個人投資家が割を食っている
ことになりますので、口座開設時の本人確認や疑わしい
口座のチェックは厳しくしていただきたいものです。


2のパターンは証券会社内での名寄せで対処可能です。

ルール化されていない証券会社には早期のルール化を、
すでにルール化されている場合は、名寄せ等の運用の厳格化が
効果的でしょう。


3のパターンは、難しいところがあるように思えます。

家族であっても、実質的に同一人物がBBしている場合は
借名口座ともとれますし、証券会社としてルール化してあれば、
実質的に同一人物の場合のBBやIPO抽選参加制限は
妥当なのではないでしょうか。

悩ましいのは、実質的に同一人物か否かを
BB時に判断することが困難なことです。

同一住所同一世帯でも、自分の資産を自分の判断で
運用されている方は大勢いらっしゃいます。

あくまで、ブックビルディングシステムの価格形成機能が
損なわれる行為を禁止することが目的であり、
実需にもとずき適切に需要申告されている方を制限することは
主旨ではないと思います。

同一住所だから、同一世帯だからという理由で、家族の誰かが
需要申告した後では申告できなくなったり、すべて対象外になるような
(一部の証券会社の)ルールはいかがなものでしょうか。

現実的には、証券会社によって

 -家族口座からの複数参加は一律不可
 -疑わしい行為(入金口座取り違え等)があればペナルティ
 -実質的に同一人物の場合は不可と告知

のどれかになっているようです。

管理人的には、すべての引受証券会社のをHP上での
実質的に同一人物の重複申告禁止の告知、
疑わしい行為(入金口座間違い等)があればペナルティ、
くらいがバランスが取れている様に感じます。


4のパターンは、更に二つに分けられます。

 4-1.複数の証券会社で行った需要申告すべてが実需なケース
 4-2.実需に基づかない需要申告
   (前受金不要ルールやイートレ,申告枚数を当選確率に考慮する
    優遇ステージ制採用の幹事証券で発生しやすい"はず")

4-1は、需要申告分が全部当選した場合でも全数購入する気持ちと
資金力があれば、理論上ブックビルディングシステムの
価格形成機能が損なわれることはありません。

(現実的には、普通の個人投資家の申込み枚数全数当選などが
 おこれば、驚異の不人気IPOと認識されて、キャンセル続出、
 上場延期となるような気がしますが..)

4-2は、業界として改善する余地がありそうです。

証券会社の営業の方々にとっては、IPOは効果的な販促ツール(?)
としての側面もあるでしょうから、やはり日本証券業協会のような
機関指導での規制が現実的でしょう。

(ご存じの通り、IPOと他の金融商品の抱き合わせ売り込みは不正行為です)


参考資料:
日本証券業協会 ブックビルディングのあり方等に関する ワーキング・グループ報告書より抜粋

重複申告の防止への対応

主に個人顧客の実需に基づかない重複申告を防止する観点から、
各社の社内規則等において適宜その方策(例えば、

 個人投資家に対しては需要申告時に前受金を受領すること、
 実需に基づかない申告は公開価格を歪める恐れがあるため
  禁止されている旨の普及・啓発を行うこと、
 自社内における重複申告排除のための名寄せ事務

など)を定めることを義務付ける。


さらに本協会においても、
投資家の実需に基づかない申告は公開価格を歪める恐れがあるため禁止されている旨、HP等を通じて必要な普及・啓発を行うこととする。



現時点で禁止しようとするのは、実需に基づかない申告です。


対策例としてあげられている施策は

 ・個人投資家に対しては需要申告時に前受金を受領する
 ・禁止されている旨の普及・啓発
 ・自社内における重複申告排除のための名寄せ

のように、"各社の社内規則等において適宜その方策などを定める"
とあるだけで、即時ルール変更を証券会社に強制しているわけではありません。

しかし、いちよし証券の前受金不要から必要へ、家族口座からの
重複IPO申込み禁止、みずほインベスターズ証券の前受金ルール強化と、
上記に沿った施策の実施傾向は既にみられます。


前受金不要な平等抽選としては、野村證券のIPO抽選枠
(個人投資家向け10%)が有名ですが、前受金なしで容易に
参加できるがことが競争倍率増加に輪をかけている側面も
大きいと思われます。

野村證券はIPO引受枚数で40%近くのシェア(2007/1-9実績)、
平等抽選枠内でも20%強を占めています。

その割に、当サイトの読者の方々の間では当選の声が聞かれない
背景としては、各社のIPOルールを把握し、計画的に資金移動を
されるようなIPO個人投資家には前受金不要ルールが
相対的に不利に働くことがあるのではないでしょうか。

管理人はIPO用資金に余裕があるわけではないのですが、
競争倍率の高い前受金不要幹事よりも競争倍率の低い
(=当選確率の高い)引受証券会社を見極めて抽選参加したいと
思いますので、需要申告時の前受金は基本的に歓迎です。

 E社やN社は、どうも当選する気がしません(笑)

ルール変更は、対象となる方によって一概に有利不利の
判断できませんが、いち早く変化を知り対策を立てることができる方に
有利に働くことは間違いないでしょう。


参考:楽天証券 新規公開株式 取引時間・取引ルール

下記に該当する場合、購入申込を制限またはお断りさせていただきます。
・住所,電話番号,勤務先,勤務先役職名が正しく登録されていない場合
・複数の口座からのお申込みが実質的に同一人からおこなわれたと
 判断された場合
・同一世帯の複数口座からお申込みがある場合
・申込者に重複口座がある場合

こちらもご参考までに


 IPOブロガー初値予想とBB参加情報は→IPO・新規公開株  

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IPO需要の重複申告 へのコメント ありがとうございます

1. Posted by 匿名    2007年12月21日 11:32
Hiroさんのご意見に同感です。
僕も野村には前受金制に変更してもらいたいと思っています。
実は以前、日本証券業協会及び、野村證券に電話をかけ「前受金制度にして欲しい」と意見を申しました。

Hiroさんの言われるところの「計画的に資金移動をされるようなIPO個人投資家」は明らかに割高な価格設定で大規模集金を行うようなIPOのBBは避ける傾向にありますし、公平な公募価格設定に関しても良い影響を与えるのではないかと思います。
2. Posted by 管理人Hiro    2007年12月21日 12:02
匿名さん、

"公平な公募価格設定"が大切だと思うこと、同感です。

実需に基づいた需要申告とBBの価格調整機能の回復のための施策は急いで欲しいですね。

取り急ぎ、引受が多いイートレと野村にお願いしたいです。

"ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング"は残念ですが、好例になってしまいました。

P.S.
我々個人投資家も"キャンセルするくらいなら申し込まない"姿勢が大切ですね。

3. Posted by アルバトロス    2007年12月22日 17:00
Hiroさん 匿名さん

 ご両人の深い見識に感服しました。
 J,T,Eの額面割れは、幾らNEOだからと言って野村の横暴と発行会社の欲の突っ張りあいの結果でしょうね。
 我々もキャンセルするくらいならBBしない基本姿勢が必要ですし、又、野村と発行会社に対して、財務省からの行政指導があっても然るべき案件の様な気がします。
 前受金制度については、野村のやり方に大賛成です。 その理由は、機械抽選、背番号制、乱数制等のやり方でコンピューターで簡単に処理できる時代になりましたし、補欠当選者への割当も一人一人にTEL連絡する事無くPC上で処理可能ですし、送金方法も簡便で迅速に出来るようになって来ました。
 IPOの本来あるべき姿は、P=パブリック、パブリシティ、つまり出来るだけ多くの人が株主になる機会を与える事でしょうし、大口投資家、機関投資家に大半を割り当ててしまうことに問題がありそうですね。
 
4. Posted by アルバトロス    2007年12月22日 17:04
続き

 ネットトレードがこれほど進めば、時代に合ったやり方を根本的に検討する必要があるのではないでしょうか。
 かといって監督官庁がこんな些細なことに関わってくれるとはとても考えられませんけどね。
 勝手な事を言ってすみません。
5. Posted by 別件SVC    2008年01月04日 17:10
SVC證券は、皆さんきちんとログインができていますか。回答お願いします。

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